フォロッド城のエピソードは、ドラクエの長い歴史の中でも屈指のエピソードではないでしょうか。そんな気がしてなりません。

フォロッド城とその隣にあるフォーリッシュの街は、魔物によって操られたからくり兵士に激しく攻めこまれています。防戦一方、堅固な城壁に守られているため辛うじて全滅には至りませんが、戦死者が尽きず、城が陥ちるのはもはや時間の問題・・・。そんな中を僕ら一行が訪れます。

まずこの街と城の作りに驚きました。とてもリアルなのです。見るからに頑丈そうで、中世の城は実際にこういう感じだったのではないかとさえ思ってしまいます。特に細部のこだわりがすごく、城の内部には弓矢を打つための窓があるのですが、これが普通の窓じゃない。外からの攻撃を受けにくくするため、すりばち状の構造になっているのです。いかにも交戦中という緊迫感が伝わってきます。
思い返せばドラクエでは、すでに全滅した村に入ることはあっても、リアルタイムに攻城戦に巻き込まれることは無かったと思います。街の人々は悲嘆に暮れ、城では傭兵を雇い入れ、老人までが武器を握る・・・この圧倒的な暗さ、絶望感。リアルさの追及が話に深みを与えます。ここにきてやっとプレステが本領発揮したという感じです。

そして人間との交わりを絶ってしまった天才的発明家のゼボット。彼女のエリーが死んだのは自分のせいだと責め、彼はせめてロボットでエリーを甦らせようと、人里離れた研究所にいます。

ここが切ないのです・・・。いままさに城が陥ちようとしているのに、彼女を忘れられない一人の男。最終的にはゼボットの改造からくり「エリー」により城は救われるわけですが、それでも彼は誰に心を開くこともなく、ひっそりと研究所に帰ってゆくわけです。人々を救ったのにも関わらず、その人々から迫害されてしまったエリーをかばって。・・・綺麗事に終わらせない、人間の業を考えさせられるエピソードです。改めて、ドラクエは凄いと感じました。この話だけを見ても、ドラクエは決して子供だけに向けたゲームではありません。

そして現在のフォロッド城に戻り、研究所に向かうと、そこにはひとつの屍とエリーが。エリーは屍になったゼボットが「元気になるよう」に、なおもスープを作り続けていました。

・・・涙が出そうでした。

むかしドラクエをやっていた頃は、ボスを次々に倒してどんどんストーリーを進めてゆくことが楽しかったのですが、どうやら最近、自分がストーリー自体を楽しんでいるらしいことに気が付きました。自分の成長が確かめられたようで、なにやら不思議な気持ちもします。それにしてもあらためて、ドラクエのシナリオの素晴らしさに驚くばかりです。

総プレイ時間:12時間54分

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